研究紹介
次のような方向を目指して研究しています.
- これまでのネットワークは電子世界を対象としていたが,IoT(Internet of Things)への進化により、外界(人の生活空間)との切れ目がなくなる.この電子と物理が統合した世界で安心・安全を考えたい.
- これまでのセキュリティ・プライバシーは,主にテキストやプログラム,バイナリ―情報を対象としていた.しかし,動画配信やIoTの普及により,映像,音,センサー情報を対象としたい.
- セキュリティとプライバシーの研究は,これまで暗号理論,ネットワークセキュリティ,コンテンツセキュリティ等の分野毎のノウハウの積み重ねが多かったが,最近は,共通の科学的な手法で研究するようになってきた.このような深い潮流を意識しながら,セキュリティとプライバシーの技術の本質的な発展に貢献したい.
- 以上の3つの方針に基づいて,ソーシャルメディアのプライバシー保護とフェイクニュース対策,個人情報を含むビッグデータのプライバシー保護,データベースの保護,その基礎となるプロファイリング,秘密計算を研究したい.
具体的な研究例
個人情報・機密情報の活用と保護
Webコミュニケーションのプライバシー保護
ソーシャルメディアの投稿文からの個人特定
フェイクニュースが引き起こす情報拡散の分析
フェイクニュースを目撃するユーザーの非合理的な判断の分析
ビッグデータの活用とプライバシー問題
Wi-Fi移動履歴の匿名化と有用性の検証
Wi-Fi移動履歴とソーシャルメディアの照合
プライバシー保護データマイニング(PPDM)
秘匿計算による暗号化データベース
暗号化データベースの実装例
これらの研究の基礎となる秘密計算、匿名化、機械学習、プロファイリングの技術
- 秘匿計算は、データに暗号をかけたままで、データの計算を行う技術です。個人情報を暗号で保護したままで、個人情報の統計を計算する等の応用があります。
- 匿名化は、個人情報から個人の特定につながる情報を除き、安全な利用を可能にする技術です。個人情報を含むビッグデータの活用等の応用があります。
- プロファイリングは、ネット等のデータに基づいて個人の属性(年齢,性別,職業,性格,投票行動,来週土曜日の20時にどこにいるか等)を分析・予測し,個人を特定する技術です。個人情報の利用における危険性や匿名化技術の問題点を発見する等の応用があります。